単位

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アメリカって単位おかしくないか?といまだに思う.

国が違えばそりゃー単位もちょっとぐらい違うだろうが,

  • 基本が国際標準じゃない.
  • 1つの物を測るのに使う単位がたくさんある.
  • たまに10進法じゃない.

と突っ込みどころが盛りだくさん.

アメリカの単位は基本的にヤード・ポンド法が使われていて,長さも重さも非国際標準単位.知らなかったけどヤード・ポンド法ってアメリカ以外だとミャンマー,リベリアしか使ってないというスゴいマイナー単位系だったのね.ヤード・ポンド法を採用している国を地図にするとこんな感じ.しかも両国ともメートル法への移行を準備しているので,どっぷりヤード・ポンド法に浸かってるのは実質アメリカだけ.

ちなみにヤード・ポンド法と言ってるのは日本だけで,英語ではイギリスで使われていたのでImperial unitsやEnglish Unitesと言っていた.しかし現在アメリカで使われているのはそれをベースに変更が加わっていてUnited States customary unitsと言われている,と既に単位系の名前からしてややこしい.

まず重さの話から始めると単位に使われているのはポンド(lb).スーパーの野菜やお肉はlbでの目方売り.ちなみに日本でも肉は目方売りだけど,アメリカは野菜も果物もほとんど目方売り.絹さやも一本から買えちゃうし,ブドウも「少しおおいなー」と思ったらちぎって欲しい分だけ買えるので便利.1lb=453.59237gなので,1lbはだいたい450g,2lbで1kg弱という感覚で買い物してる.最初は「lb」という表記がなかなかポンドと結びつかなくて慣れるまで大変だったけど,天秤を意味するlibraからきてるらしい.

lbだと大き過ぎる場合はオンス(oz)を使う.例えばヨーグルトやチーズはoz表記.気をつけなきゃいけないのは1lb=16ozと10進法でないので,1oz=0.1lb=45gと間違えて計算しないように注意が必要.実際は1oz=1/16lb=28.349523125gと30g弱.

同じくスーパーで良く使うのは体積の単位.これはちょっと面倒くさい.まずビールやコーヒーといった飲み物はfl oz(fluid ounce)という液量オンスが単位.元々イギリスでは1fl oz=28.4130625㎖だったが,アメリカでは29.5735295625㎖,ただし栄養表示の場合30㎖を使用するとか小難しい定義になってる.まあ一般人には1fl oz=30㎖で十分で,俺はいつもコーヒーのレギュラーサイズが12fl oz=360㎖を基準にして考えている.でもlbとちがってfl ozは㎖が併記してある事が多いのでわりと困る事がないんだけど.

ただ同じ飲み物でも牛乳パックのように量が多くなると単位が変わってしまう.1ℓぐらいの量だとクォート(quart,qt)を使う.1qt=32fl oz=946.352946㎖で,1qtはほぼ1ℓと覚えやすい.しかしアメリカのスーパーで1ℓの牛乳なんて小さい部類でほとんど見ない.基本はガロン(gallon,gal)サイズで,1gal=4qt=128fl oz=3.785411784ℓ.オレンジジュースもうちがいつも買ってるミネラルウォーターも1gal.

たまにパイント(pint,pt=16fl oz=473.176473㎖)みたいに「お前,どっから出てきたんだよ!?」的な単位が潜んでいる事もあるので要注意だ.

ちなみにガソリンの単位はガロン.この前入れた時は$2.259/galで,リットル換算すると¢69.日本と比べると安いのは当然だけど,アメリカに来た時は$3.6/galぐらいだったからこの一年でだいぶ安くなったね.

温度は華氏(℉).変換式は℉=9/5×℃+32と正直覚えてられない.目盛りの幅としては1℃上がると1.8℉上がるので,基準となる温度をいくつか覚えてそれにその差分を足し引きする感じで計算している.基準として覚えてるのは0℃の32℉,冬の暖房設定温度の70℉が21℃,人の体温がざっくり100℉(正確には37.8℃とちょい高いが).現地人的には気温が一桁℉(10℉で-7.8℃)になると「寒過ぎてやべーぜ!」となるらしい.

気温・体温以外で使うのはオーブンの温度ぐらいかな.160℃が320℉,200℃が390℉なので300℉台が良く使われる感じ.

そして長さの単位はポンド・ヤード法というわりにはヤードはほぼ見かけず,というか日常生活では一度も見た事がない.大きな単位からいくと,まずはマイル(mi)である.1mi=1609.344mとほぼ1.6km.道路標識はマイル表示で車のスピードメーターもmphだが,スピードメーターにはkm/hも併記してある.60mphで100km/hぐらいで,高速だとそれ以上,一般道だとそれ以下で走る感じ.

しかし道路標識も「次の交差点」レベルの距離になるとフィート(ft,30.48cm)が登場する.ftは足の大きさ≒30cmと覚えやすいんだが,1,000ftと言われると0が多過ぎて「3km?300m?」ととっさに計算できなかったりする.正解は1,000ft=30,000cm=300mだね.まぁ,次の交差点が3km先って言われても遠過ぎて困るか.ちなみにマイルとの関係は1mi=5,280ftととても覚えてられないレベル.

そして身長とかftじゃおおざっぱ過ぎるレベルになるとインチ(in)が使われる.1in=2.54cmは覚えてるが,細かい計算はちょっと無理.2inがだいたい5cmと思って処理してる.ただこれまた10進法じゃなく1ft=12inという関係なので,身長178cmは5ft10inと何ともスッキリしない数になる.アメリカに来た当初は12進法に気が付かなくて,身長を書かなきゃいけない時に「10in?じゃー6ftか?あれ,でも6ftじゃ高過ぎる…」と悩んだ記憶がある.

あと長さの場合は分数もよく使われる.というか少数を使わないと言う方が正しいかもしれない.道路標識で次の高速出口まで¼miとか,子供の身長が30¼inとか,だいたい¼単位の分数を併用して表記している.

ちなみに上の写真のWeightもそうだが,長さのftとin,重さのlbとozのように複数の単位を合わせて表現する時はハイフンでつなぐのが普通みたい.19lb 8ozだと「19 - 8」,12ft 10inだと「12′ - 10″」って感じ.小数点の19.8や12.10と混同しないように注意が必要だね.でもスマホでもWebでも単位を変換してくれるアプリは結構あるけど,gからlb+oz,mからft+inみたいに複数単位に変換してくれるヤツってほとんどないから困るんだよね….

ただし医療系に限っては,わりとメートル法が出て来る事もある.例えば子供の身体測定にいくと身長はinなのに頭周りはcmで計測したり,産まれた時の体重はgで測ってからlb-ozに直したりしてる.風邪を引いた時の薬も液体だと㎖で量が指定されているし有効成分もmg表示.熱が出た時に気をつけなさいと言われた体温は100.4℉,102.2℉と中途半端だったが摂氏に直してみると38℃,39℃だった.

最後に以外と気付かずにハマってしまうのが料理系のちょっとした単位違い.日本だと1カップは200㎖だが,アメリカでは250㎖.アメリカのコップは日本よりデカいという事か(笑).

ちなみにこれらの単位,英・米で異なる,米内でも液体か固体(小麦粉みたいの)かで微妙に違うという細かいバリエーションがあるので,正確な値が必要な場合は気を付けた方がいい.NASAも単位の取り違えが原因で火星探査機ミッション失敗してるしね.