送金手段の準備

0

ドイツで生活するにあたって必要なお金周りの手続きは以下の通り.アメリカの時も一通りやったけれど今回も一つずつやっていく.

  1. 送金手段の準備
  2. 銀行口座の開設
  3. クレジットカードの作成

まずは送金手段の準備から.給与が出るまでの当面の資金やドイツ生活中に車の購入などデカい金額が必要になった時など,日本から金を送るための準備をしておく.これに関してはWISEという個人間送金サービスを利用する.なぜWISEにするかというと以下に色々細かい話は書くけれども,結局,楽で使いやすいからである.手続きや利用がオンラインで完結したり入金が即時だったりと色々便利なのだ.

10年前は日本の銀行に外貨口座を作って対応していた.海外送金と両替えを同時にやると手数料が高いとかどこでどう手数料がかかるか分からないとかいう理由で,まず日本の銀行の口座内で外貨に両替え(外貨口座へ入金),両替えした外貨を海外の銀行の口座にWire Transfer(電信送金)するというやり方だった.両替手数料に加えて¥3,500の送金手数料を払っていたし,場合によっては中継の銀行で手数料が取られることもありますとかいう良く分からない仕組みだった.

それがWISEを使った送金になるとこんな感じになる.

  • 入金は既存の銀行口座・WISEの日本円口座間で通常の銀行振込.なので振り込み元の銀行によっては手数料無料.
  • 外貨の入金はWISEの日本円口座・外貨口座間での両替え.かかる手数料は両替手数料(ユーロへの両替えで0.6%ぐらい)のみ.
  • 外貨の出金はWISEの外貨口座からの出金.デビットカードを使ってATMからおろすかデビットカードで直接払う.手数料はなし(現金での出金は€200までが手数料無料だが,デビットカード支払いなら上限なし).

WISEは1つのアカウントの中で通貨ごとに口座を作れるので,自分のWISEアカウントの中に例えば円口座とユーロ口座を持つことができる.細かい仕組みは分からないけどWISEの円口座の実態はイギリスの銀行口座みたいなのだが,円口座への入金は指定されたPayPay銀行の口座に振り込むことでほぼ即時に入金される.なので自分が持っている日本の銀行口座から通常の銀行間振り込みをするとWISEの円口座に日本円で入金されるのである.そのあと両替手数料を払ってWISEの円口座からユーロ口座に両替えをするとユーロ口座に両替え後のユーロが入金され,申し込んだときに郵送されるデビットカードを使って現地でのATMからの出金,もしくはデビットカードでの直接支払いができる.

WISEの両替手数料は明記されていないが計算するとユーロの場合で0.6%ぐらい.SBI新生銀行だとステージにもよるが€1につき¥0.2(=0.1%ちょい)なので少し高めだが,WISEはベースとなる為替レートがTTSではなくTTM(仲値)と異なるし,TTM自体もWISEの方が値が低い時が多いように見える.という事で実際に10万円,100万円を送金する場合の受取額を,三菱UFJ銀行のTTMが¥163.93の時にSBI新生銀行と比較してみる.

10万円を送金した場合
送金方法 受取額 TTMとの差額 実質レート 両替えレート (TTM) 両替え手数料 送金手数料 備考
MUFJのTTMでの理想値 (手数料なし) €610.02 - ¥163.93 ¥163.93 - - -
WISE €606.29 -€3.73 ¥164.94 ¥163.97 ¥587 ¥0 両替え手数料は0.05867% (たぶん)
SBI新生銀行 (円口座) €590.25 -€19.76 ¥169.42 ¥164.69 ¥791 ¥2,000 両替え手数料は€1につき¥2.5 (たぶん)
SBI新生銀行 (外貨口座) €582.21 -€27.81 ¥171.76 ¥164.69 ¥116 ¥4,000 両替え手数料は€1につき¥0.2 (ダイヤモンドステージの場合)
100万円を送金した場合
送金方法 受取額 TTMとの差額 実質レート 両替えレート (TTM) 両替え手数料 送金手数料 備考
MUFJのTTMでの理想値 (手数料なし) €6,100.16 - ¥163.93 ¥163.93 - - -
WISE €6,062.90 -€37.27 ¥164.94 ¥163.97 ¥5,867 ¥0 両替え手数料は0.05867% (たぶん)
SBI新生銀行 (円口座) €6.101.96 -€100.76 ¥166.36 ¥164.69 ¥8,055 ¥2,000 両替え手数料は€1につき¥2.5 (たぶん)
SBI新生銀行 (外貨口座) €6,040.39 -€59.77 ¥165.55 ¥164.69 ¥1,208 ¥4,000 両替え手数料は€1につき¥0.2 (ダイヤモンドステージの場合)

送金額が小さい場合はWISEのメリットが大きいが,額が大きくなると手数料が固定のSBI新生銀行との差が縮まってくる.同じSBI新生銀行の中での比較は,送金額が小さい場合は固定手数料が低い円口座からの送金が,額が大きくなってくると両替え手数料が低い外貨口座からの送金が有利になってくる.100万円送金するんだとWISEとSBI新生銀行(外貨口座)の差は¥3,700ぐらい出てくるので,便利さに加えて実質的なレートもいいとなればWISEを使わない理由もないんじゃないかな.まあレートよりも諸々の便利さのメリットの方が大きいと思うけど.

便利さの一例で言うと自動両替機能というのがあって,希望する為替レートを設定しておくとその為替レートになった時に両替えを実行してくれるという,まるで証券口座の自動売買みたいなことができる.為替レートが1円変われば100万円の送金で¥5,000ぐらいすぐ変わるから,実際の手数料云々よりよほど有用な機能かもしれない.

さて実際のWISE口座の開設だが,出国前に日本で開設する方がお勧めである.理由は出国前に送金や両替のテストができるから.銀行によっては新規の振込先にはSMS認証など追加認証が必要なケースもあるので出国前に振込確認までできていると何かと安心である.

ただし日本の住所で開設したWISEアカウントでは保持できる総資産が100万円までという制約ができてしまうので要注意である.

日本のお客様の保有限度額について
日本の住所でご登録のお客様は、日本の規制のためWiseアカウント内で合計100万円相当を超える資金を保有することはできません。この金額には、アカウント内のすべての通貨の残高が含まれます。

でも心配はご無用.住む場所が決まったら現地住所へ住所変更することでこの100万円の上限は適用されなくなる.住所変更をするとなぜかデビットカードも再発行になったのだが,送料もかからないと言われたので,まぁ,何も考えずに切り替えておけばよいと思う.日本で発行した時はマスターカードだったものがVISAになっていたが,まぁ,これも気にしちゃいけないところだと思う….