これがオーバーブッキングか!
長い飛行機の旅が始まる.今回はマレーシアのクアラ・ルンプール経由でドイツのミュンヘンに向かう.成田からクアラルンプールまでは約5時間,そこからミュンヘンまでは12時間以上もかかる長時間の旅だ.しかもクアラルンプールでは7時間にも及ぶ待ち時間のおまけつき.直行便なら十数時間のところを,丸一日以上の時間をかけて行くというおそろしく遠回りなフライトで,いわゆる貧乏学生の時間がかかっても安くという典型的な旅である.
飛行機は久しぶりに成田空港の第2ターミナルからの離陸で,シャトルに乗って搭乗口まで移動する.搭乗口に着くとマレーシア航空のとび職の人がいるが,制服が民族衣装のような感じで他の航空会社とは一味違った印象を受ける.まあどんな外見をしていても,無事に目的地に送り届けてさえくれればいい.
それから機内への搭乗までは特に問題もなく,すんなりと乗り込むことができた.今回の席は非常口の横で,窓側の席だったが真横に窓がない.残念ながら外が見にくいが,前に席がないので足を伸ばすことができてうれしい.
飛行機の離陸も問題なく,映画を一本見終わるとクアラ・ルンプールに到着.あいにく,外の天気はあまりよくないようだ.しかも空港内はクーラーが効き過ぎて寒いぐらい.これではとても熱帯に来た感じがしない.しかしクアラ・ルンプール国際空港自体はとてもきれいな建物で,香港新空港なみに新しい.
ただ困ったことに暇を潰せるような場所がどこにも見当たらない….例えるならば早朝の商店街といったところだろうか,店はいくつかあるのだが半分ぐらいはなぜか閉まっているし,開いている店も香水やチョコレートを売ってるような免税店ばかりだ.いろいろと空港内を歩き回ってもみるが,案外小さい空港で30分ぐらいで回りきってしまう.こんな所でどうやって7時間も潰せというのだろう?
あまりにも早くやることがなくなってしまい,しょうがなく食事をとることにした.しかしここで重大問題が発生!食事の為だけに両替するのも面倒なのでクレジットカードで支払おうとすると,なんとクレジットカードが使えない.これは「太陽の住人」の陰謀か?と思いきや,実はカードの期限切れ.どうやら新しいカードと古いカードを間違えて持ってきてしまったようだ.
今回は英樹に一緒に払ってもらったが,一人旅だったら死んでいたところだった.その危機を乗り越えたあと,エキゾチックな料理でおなかはいっぱいになったが,相変わらずやることがない.結局,空港の片隅に見つけたちょっとイカしたベンチに座って,英樹持参のポケステにひたすら励む.当の本人はひたすら読書.今思えば,今回の旅行中最もつらく,最も無駄な待ち時間だった.
無限とも思えた待ち時間がようやく終わりに近づき,やっと搭乗口に移動する.しかし搭乗口に着いたものの,搭乗時間が過ぎてもなかなか搭乗が始まらない.まさかこれだけ待たされた上に何かトラブルか?と思っていると,英樹とともにカウンターに呼ばれる.いったい何だと行ってみると,わけも分からず席を変更されてしまう.
その後すぐに搭乗が始まったので,ずいぶん前の方の席に換えられたなあと思いながら乗り込むと,なんとここはビジネスクラスではないか!何の手違いでこうなったのかは知らないがこれはラッキーである.一度は乗ってみたいと思っていたが,まさかこんなところで乗れるとは….くぅ,椅子がでかい!前後左右の席との距離はエコとは比べ物にならないほどゆとりがあり,リクライニングボタンなどなんと3種類もついている豪華さ.これではこれから始まるフライトが楽しみでしょうがない.
離陸する時間が近づいてくると飲み物が運ばれてくる.しかしそれは飛行機特有の安物プラスチックコップではなく,なんとちゃんとしたグラスで出てきたのだ.しかもコースター付きで!離陸したらしたでメニューとお泊りセットが配られるが,メニューはちゃんと本のようになってるし,お泊りセットには何がなんだか分からないジェルがいっぱい入ってる.
しかし何よりすごいのは食事だ.食前酒から始まって前菜,メイン,デザートと続くのだが,エコのように一皿に全盛で出すようなことはしない.テーブルクロスを敷いたテーブルの上で,陶器の皿に一品ずつ取り分けてくれるのだ.塩・コショウまで陶器の入れ物に入って出てくるし,もちろんお味もワンランク上だ.食後のお茶も優雅な感じで,もちろんソーサー付きカップで出てくる.初めて乗るビジネスクラスのいろいろな物に感激し(かなり貧困な感激だが…)おなかもふくれ,大変満足.
そして,英樹は付属テレビの SUPER NINTENDO に夢中になっているが,私はこのゴージャスな椅子を存分に味わうことにしよう.それでは….
Comments