ローレライはただの崖

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今日のメインは船でのライン川下り.そして途中から電車に乗り換えてケルンに向かう.本当は船でケルンまで行きたいのだが,残念ながら時間の関係上それは無理.それでも1日数本しかない船を乗り過ごさないために7時にはハイデルベルクを出発する.もちろんゆっくり朝食を食べてる暇がないので,駅内でサラリーマンに混じってソーセージを立ち食いしていくが,これが安い割にはおいしい.

船が出るリューデスハイムまでは電車で3時間弱で,10時前には到着.船が出るのは10時半なので,少し時間がある.そこでブラブラすることにしたが,とても小さな街だ.150mしかないメインストリート,つぐみ横丁と,船着場のみで成り立っている.つぐみ横丁は小さなドイツといった感じの通りで,なかなかいい.多くの土産屋やレストランが並ぶが,早朝のせいか,人通りも,ビールを飲む人も少ない.まあ,昼にでもなれば観光客で賑わうのだろう.

ライン川を下る船は,ユーロパスで利用できる交通機関に含まれている.つまり今日はユーロパスを使って電車に乗ったので,追加料金なしに船に乗ることができるのだ.ずいぶん得した気分である.しかし予約は必要なので早めに予約しておくが,まわりを見た限りでは日本人の観光客は少ないようだ.ロマンティック街道を走るバスはあんなに日本人が多かったのに,こっちは人気がないのだろうか?だがよく考えると,もう8月も終わり.暇な大学生以外は帰国しなければいけないのか….

船は時間通りには来ず,遅れての出発となる.しかし船に乗れば,そんなことはどうでもよくなる.ライン川は日本の川のような高低差がないため,流れはとても緩やかだ.決してきれいな川ではないが,その上を船で進むと時もゆったりと流れ,心もほのぼのとしてくる.両岸に点在する古城もいい雰囲気を出しており,眺めているとタイムスリップでもしたかのような気持ちになる.

先日の古城街道もなかなか良かったが,私はこちらの方がゆとりがあっていいと思う.ただ,ここで一番有名なローレライは実際に見てみるとただの崖で,胸にくるものは何もなかった.

そしてその船上で頑張る2人のカメラマンを見た.最新のカメラを持つ若いチャイ系の彼と,自分よりも年をとっていそうなカメラを持つ白人の老人である.彼はみんなが椅子に座って観賞している中,一人立ち上がって城々を相手に奮闘しているし,ご老体は最前列に陣取り今にも止まりそうな体とカメラでシャッターを押す.どこにでもカメラに夢中の人というのはいるもんだが,私はこの2人が気になってしょうがなかった.

船はザンクト・ゴアスハウゼンに着き,私たちは電車に乗ってケルンへと向かう.途中のコビュレンツで乗り換えるのだが,そこで少し時間があったので買い食いしておく.カリーソーセージなるものを注文したが,出てきたのは輪切りにしたソーセージに,お湯で溶いたケチャップをヒタヒタにかけたもの.どこがカリーなんだと思ってよく見ると,上に少しだけカリーパウダーがかかっている.まずくはないが,ケチャップの味しかしない,ちょっとだまされた一品だ.

そして無事ケルンに到着.しかしケルンは意外,というか珍しくビルが多く建ち,今まで見たドイツの中では一番近代的.それでも一番の見所は町の中心に建つ大聖堂だが,その尖塔がまた高い.階段は500段以上もあり,そのほとんどが螺旋階段になっている.ただでさえ段数が多いのに,螺旋階段では上りにくくてしょうがない.

上からの見晴らしはいいが,やはり歴史を感じさせる建物は少なそうだ.教会内はステンドグラスも綺麗だし,いい感じのタペストリーも多い.宝物庫は金色一色だが結構ショボショボで,拝観料の安いドイツで初めてお値段なりだと感じた.

街並みはやはり見てもあんまり面白くなく,どちらかというと買い物向きかもしれない.そして大聖堂の近くでケルシュビールを飲んでみるが,これがうまい.ドイツで飲んだ中では一番だ.これだけでも,ここにきた甲斐があったというものだ.その後ケルンで最も古い教会に行ってみるが,中身は超モダン.他に見るところもなく,だまされた気分のままハイデルベルクに帰ることにする.