朝9時発,夜9時着

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今日は,ヨーロッパバスを使ってハイデルベルクに向かう.そのヨーロッパバスが観光を兼ねてるとはいえ,ミュンヘンを朝9時に出てハイデルベルクに着くのは夜の9時ごろという,丸一日がかりの移動なのだ.

ハイデルベルクへは,ミュンヘンからロマンティック街道をローテンブルクまでさかのぼり,バスを乗り換えて古城街道を西へと走る.ロマンティック街道とは,ノイシュヴァンシュタイン城のあるフュッセンからヴュルツブルクまで続く,中世の街並みを残す街道で,バイロイトからマンハイムまで古城や大学都市をつなぐ道を古城街道という.

昨日ヨーロッパバスの予約を取ろうと思ったときは,すでにツアー会社が閉まっていて取れなかった.そこで満員になっていたら大変だと,かなり早めにバス停に向かうことにした.もちろん朝食をゆっくり取っている暇はなく,ホテルで軽く済ます.その食事もソーセージにパンという典型的なものだったが,ソーセージの中にはスパムみたいな不気味な物もあったりする.しかしこれが,意外と固いパンにあっておいしい.ただし飲み物は,オレンジジュース以外は色も味もテリブルだった.

急いでバス停まで行くと,すでに先客あり.それどころか,バスもすでに来ている.しかし乗り込むのはまだのようで,チケットすら売り始めていなかった.出発を待っていると続々と他の客も集まってきたが,なぜか日本人が多い.ざっと見たところ半分ぐらいは日本人のようだ.そしていよいよバスが出発となるが,意外に客は少ない.乗車率は5割ほどだ.満員を危惧して早く来たのが馬鹿らしい.

一日がかりの移動といっても,ずっとバスに乗り続けているわけではない.だいたい1時間ごとに休憩が入る.最初の停車地はアウクスブルク.15分の休憩だ.この15分という時間は微妙で,休憩には長いがどこかに行くには短い.しかしバスに乗ったままというのもなんなんで,一番近そうな市庁舎へ行ってみようということになった.結構急ぎ足で市庁舎へと向かうが,半分ほど来たところで残り時間を計算.ここまできた時間から帰る時間を考え,それに見学する時間を考えると…足りない.明らかに足りない.それどころか,今から帰らないとすでに危うい.という事で,道半ばにして挫折.取って返す.

次の停車地,ネルトリンゲンでは少し長めの停車だったので,聖ゲオルク教会の塔,ダニエルに上ることができた.ダニエルの中はけっこう狭く,木製の階段が古さを感じさせる.350段の階段を上りきった頂上からの景色は,街を一望することができ気分爽快である.城壁で丸く囲まれたこの街は,意外と小さく周りには何もない.まるで陸の孤島のようだ.しかしクレーターにできた街というだけあって,ダニエルの中にも隕石が展示してある.だがゆっくり見ている暇もなく,すぐに次の停車地へと向かわなければならないのが残念だ.

お昼はディンケルスビュールでとる.あまり時間がないのでバスの中であらかじめ注文を取り,ついたらすぐに出してくれるという仕組みになっている.もちろんソーセージを頼んでおいて,急いで食べてすぐ外に出る.町の中心にある教会は,ネルトリンゲンと同じ名前のゲオルク教会.222段の階段を克服して教会の塔に上れば,すばらしい展望が…のはずだったのだが,なんと結婚式をやっている.そのせいで残念ながら,教会の中に入ることもできなかった.

しょうがないので街を囲む塀に沿って,ブラブラと歩いてみる.ここはネルトリンゲンなどと比べると大きな街だが,それでも小さい.これらの街は,バスでちょっと寄るのでは物足りないが,それ以外は交通手段がないため一泊するしかない.しかしそれではいくら日数があっても足りなくなってしまうため,ゆっくり見たいが足早に通り過ぎてしまった残念な街だ.

そしてバスの乗り換え地,ローテンブルクへと到着.町の中心にある市庁舎は上に上れるようになっているが,なぜだかすごい順番待ち.どうやら人数制限をしているようだ.しばらく待って中に入ることができたが,狭い狭い.上へ上るはしごも狭いが,展望台がまた狭い.みんな肩を寄せ合いながら街を眺める.上から見ると,この街は比較的大きいみたいだ.しかし見える屋根はいつものごとくオレンジ一色.これもまた壮観である.

下りてから,バスに向かいながらローテンブルク名物シュネーバルを食べる.これはリボン状の生地を直径10cmほどの球形に丸めたクッキーなのだが,極論すればクッキーの塊.おいしいのはおいしいが,のどが詰まって飲み物なしでこの量は食べるのは結構つらい.しかも気が付くと,英樹が道を間違えている.これは大変だ.出発時間まで時間がないので,走る走る.死ぬほど走ってギリギリ到着.クッキー食べた後に走ったので喉はカラカラだ.バスも乗り換えなきゃいけないし,本当に大変だった.

今度は古城街道を走るバスに乗るのだが,さっきのバスが比較にならないほどすごい.なんと全乗客が4人しかいないのだ.私たち2人と老夫婦だけで,ガイドも一緒に乗っていない.バスは田舎道を思いっきり飛ばし,平気で停車予定地を抜かして行く.ガイドさんの代わりにテープが流れるけれども,場所によっては1文しか説明がなかったりする.おいおいと思っているが窓から見える風景はなかなか良く,古城もけっこういい.しかし本当に異常な飛ばしっぷりで,観光というよりも移動という感じだった.しかし休憩で停まった場所で,旅のお供,Fisherman's Friendを発見する.これはラッキーである.しかも今まで見た中で缶以外のすべてを網羅しているという最高の場所だった.

そしてハイデルベルクに到着したのは20:30.予定よりも少し早い.飛ばした甲斐があったようだ.これからホテルを取らなければならないので心配していたが,まだ明るいので助かった.歩いていると学生さんが声をかけてくれたりと,学生の街だけあって来訪者にはやさしいところのようだ.けっこういい感じの街である.

ホテル選びはあまり問題なく,すんなり決まった.

しかしホテルで一休みする前に,食事に行かなければもう夜も遅い.バスに乗って行こうと思ったが,どこに停まるのか,どこへ行くのかちょっと戸惑った.その後,無事ついたものの,この時間にオープンテラスでの食事はちょっと寒い.今日のビールはうまくまとまったいい味だったが,この寒さの中,冷たいビールを飲むのはなかなか厳しかった.