Fisherman's Friend王国ドイツ

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昨日,長時間バスに乗っていたせいか,2人そろってちょっと寝過ごした.朝食は宿代に込みなのでそれをいただく.ゆで卵が出てきたのはいいが,なぜか2人で1つ.これをどうしろというのだ?

1日券は近くのバス停では購入できず,中央駅まで行かねばならない.そこでわざわざ中央駅まで戻り,1日券を買ってハイデルベルク城へ向かう.だが券売機の説明ががドイツ語であるため,券を買うのも一苦労だった.似たような券がいくつかあって,細かい違いが分かりにくいのだ.しかも悲しいことに,これだけ苦労して買ってもどうせ見られることはないのだ.今までの経験から,西洋では近郊電車の切符を確認することはほとんどない.切符を買うか買わないかはその人の良心に任されているのだ.いつも地元の人はちゃんと買っているのか,本当に疑問である.

ハイデルベルク城はツアーに参加しなければ城の中には入れない.そこでまずはツアーを予約し,開始時間まで庭を散歩する.城は小高い山の中腹にあるため,歩いてくるには長い坂道を登ってこなければならないが,城の庭からは街を一望することができる.横を穏やかに流れるネッカー川に,どこからともなく教会の鐘が響いてくると,とてもいい雰囲気になる.庭全体もきれいに整備されていて,とても美しい.歩いているだけでも飽きることがない.ただ惜しむらくは賑やかさ,というか人の多さ.しかしこれに関しては私もその一因なので,とても偉そうなことは言えない.

そしてお待ちかねの城内ツアーの時間となる.ところが不幸にも,私達はこのガイドツアーを楽しむことができなかった.その理由はガイドの女性だ.常に下を向いている目線と,かなり間があるしゃべり方.それになんと言っていいか分からない彼女のオーラが,私たちに危険信号を送ってくる.そのうちキレルのではないかと,ビクビクしながら1時間を過ごした.おかげで中身がほとんど記憶されていない.それでも最後に,爽やかに「ダンケシェーン!」とお礼を言ったのにさくっと無視された.

精神的に疲労したが,気を持ち直し地下にあるワイン樽を見に行く.とても巨大な樽で,直径が大人2人分はある.22万リットルのワインが貯蔵されているそうだが,数字が多すぎてぴんとこない.ただ1つ確かなのは,紳士の彼にも飲み干せないということぐらいだ.

そろそろお腹もすいてきたので少し遅い昼食を取るために,城を出る.城と街はケーブルカーでつながれており,それで行き来できるはずなのだが,よく分からないうちに石坂を下りている.その疲れから,昼からビールを飲んでしまう.日本では考えられないことだ.飲んだビールは昨日の親戚で(コースターも一緒),昨日のビールの苦味を少し抑えた感じ.しかし昨日のほうが好みだった.一緒に頼んだハンバーグは,ソーセージと同じ味がする不思議な一品だった.

その後,学生牢に行こうと思ったが,残念ながら日曜日は休みらしい.そこでマンハイムに行こうと中央駅まで行ったが,またもや間に合わないことが発覚.しかしせっかく駅まできたので,中のスーパーで買い物をして行く.ドイツのスーパーは初めてだが,なかなか面白い.一番目を引いたのは歯ブラシ.ヘッドが換えられるものや,ブラシの中心部が回るものなど,変わっているものが多い.さすが医学の国だ.

しかししばらくして,それを上回るものを発見してしまった.なんとFisherman's Friendが全部そろっているのだ.今までどこの国でもなしえなかったFisherman'sのコンプリートをここに見た.これは感激.早速購入する.昨日に引き続くこの大事件に,ドイツ人はFisherman's Friendが大好きなことを知る.

いったんマルクト広場まで戻り,そこから川を渡って哲学者の道をたどる.ところがこの哲学者の道に至るまでが,またひどい急な坂なのだ.これでは哲学する前に疲れてしまう.しかし上るだけの価値はあり,ここから眺めるハイデルベルク城は別格である.本格的に写真をとる人達も多く,望遠レンズ付きカメラを片手に眺めのいい場所を独占している.

そういうカメラマンたちに混じって,ちょっと異彩を放つ集団に出会う.おそらく中国系と思われるアジア人4,5人の集団が,歌を歌っている.それのどこが異彩かというと,歌い方が本気なのだ.1人が歌を歌い,残るみんながその歌に聞き惚れる.歌い終わると,あまりのすばらしさに拍手まで起こる.とてもじゃないが,恥ずかしがり屋の日本人には真似できない.もう7時も過ぎたというのに,空はまだ明るい….

再びマルクト広場まで戻って晩御飯.今日はギネスにも載っているストロングビール,Vetter33に挑戦.これは世界一強いビールで,アルコール度数がなんと33度もある.ビールはおしゃれな細いグラスで運ばれてきたが,かなり濃い茶色をしている.しかし飲んでみるととても甘く,あまり苦味を感じない.33度の割には飲みやすいが,あんまりピールという気がしない.白茹でソーセージも甘いマスタードを添えて出てくるが,これは結構おいしかった.

その食事中に,店の中で相席になった日本人のおじさんに話し掛けられる.ツアーで家族と来ているらしいが,こっちがお金を削ってずいぶん遠回りしてきたのを聞いて,時間は若者の特権だと,しみじみと語られた.あと,オーストリアはいい所らしく,ぜひ寄るといいとのこと.機会があったらぜひ行ってみたいものだ.その後は夜のハイデルベルク城を眺めながら,ほろ酔い気分でホテルに戻る.