前夜,英樹と敬之が泊まりに来る.私の家が成田空港に近いので,私の家から行こうという腹だ.いろいろあって私は居間で寝ることになったのだが,2,3時間するとハムスターの次郎が騒ぎ出す.最初は我慢していたが,今日に限ってとても元気でこれ以上寝ていられない.しょうがないので自分の部屋に戻ると,時差ボケ対策で早めに寝ていたはずの英樹が私のパソコンでゲームをやっている.どうやら敬之のいびきがうるさくて,英樹もよく眠れなかったらしい.そのまま 2 人で朝まで起き続ける.
何とも言えぬ体調で空港に向かう.行きは隣の家の小暮君に送ってもらったのだが,彼は出発ターミナルを間違えた.おかげでターミナル間バスに乗る羽目になる.しかし電車で行くよりは全然楽だったので,彼に感謝.空港に着くと風邪薬を持って来るのを忘れたのに気付き,空港で購入.やはりこういう物は使い慣れた物が安心だ.それ以外はたいした問題もなく,最後にと日本食を食べて飛行機に乗り込む.いろいろと話題の多い大韓航空が,無事に私達をアメリカへと運んでくれることを祈って….
機内では,特に何も起こらなかった.いかに大韓航空といえど,会社として成り立っているだけのことはある.あえて言えば機内食がまずかったぐらいだが,飛行機でうまい物に出会ったこともない.しかし飛行機の狭い座席というのは何度乗っても慣れない.長く乗っていると,体の節々も痛み足もむくむ.一生に一度くらいはファーストクラスやビジネスクラスに乗ってみたいものだ.
10時間も飛ぶとロサンゼルス国際空港,LAXに着く.空港は朝の8時ということもあって,あまり人がいない.ロサンゼルスの天気はあまり良くない上に,体も疲れていて嫌な感じだ.しかしいかに疲れていようとも,ホテルに着かないことには何も始まらない.今日はアナハイムにあるディズニーランドへ行く予定なので,ディズニーランドまで歩いて行ける位置にあるRADISSONホテルを予約してある.
当初,空港からホテルまではシャトルバスを使おうと思っていた.しかしその乗り方が良く分からないうえに,みんな疲労の為に頭があまり働いていない.その為あまり考えもせずに,タクシーを使うことにする.だが,ここで異文化にぶつかり眠気も一気に覚める.料金メーターが,恐ろしいほど頻繁に上がるのである.日本みたいにたまにボンと上がるのではなく,少量ずつチョコチョコと上がっていく.3人ともぼられているのではないかと,車中は冷や冷やしっぱなしだった.途中,強引に前に割り込んできた横の車に運転手が「Stupid!」と叫んだりと恐怖に拍車をかける.何とか無事にホテルに着くと,親切にもポーターが料金を見てくれたのだが「ちょっと高いがこんなもんだね」ということだった.ぼられた訳ではないが,タクシーが私達に与えた精神的ダメージはとても大きかった.もちろん,以後タクシーを使うのはなるべく避けようということで3人の意見がまとまったのは言うまでもない.
ホテルについてビックリしたが,周りには本当に何にも無い.言ってしまうと何だが,ディズニーランドがなければ誰もこんな所に来ないだろう.と,周りの感想もそこそこにディズニーランドへ向かう.ホテルを出てすぐの所でセブンイレブンを発見.腹も減っていることだし,何か買おうと中に入る.外見こそ似ているが,入ってみると中は結構違う.コーヒーは空のカップとコーヒーの入ったポットが置いてあってセルフサービスでやってくれという感じだし,サンドウィッチは店で作ってるらしく手作り感あふれる.店の中にドーンとATMが構えているのも変な感じだ.ジュースはたくさん置いてあるが,半数はコークで残りは自己主張の激しい色をした謎の液体だ.それらも9割は炭酸である.炭酸じゃないのは水とゲータレードぐらいのもんだが,ゲータレードがこれまたカラフルで気持ち悪い.いったい何色あるんだか….コークに関してはマックで売ってるようなストロー付き紙カップ(これもセルフ方式)でも売ってるが,小さい物で日本のLぐらい.大きい物に至っては44oz(900ml弱)と半端じゃない.妙な物が多かったが,結局ブリトーと水を買って外に出る.ブリトーはずいぶん冷たいが,店員が暖める素振りも見せなかったのでこのまま食べる物かとかぶりつく.冷たい….中が凍ってシャリシャリしてる….おいしくない….どうやらどこかにレンジがあって,勝手に暖めるらしい.アメリカ最初の買い物で大失敗だ.意気消沈しながらディズニーランドへ行く.
入場券を買うときに,外国で初めてVISAカードを使ってみる.ノープロブレムだ.ただ,受付のおばちゃんにはこっちが日本人だとばれて「こんにちは」と言われる.アジア系の人っていっぱいいるのに,なぜ分かったのだろう?2日間使えるパスポートを買って中に入る.日本にないアトラクションを中心に乗って行くが,結構さくさく乗れてしまった.大物を2,3個残してほとんど乗ってしまった感じである.
まわってみて気づいたが,ここはさほど大きくない.規模的には日本のディズニーランドとあまり変わらないようである.一区切りついたので,中で昼飯を取る.サンドウィッチを食べたのだがあんまりうまくない.しかし英樹と敬之が食っていたまずそうなパスタよりはまだマシだったろう.
この日は移動の疲れもあって3時頃にダウン.いったんホテルに戻って少し寝る.その後,晩飯にホテルの近くの中華料理のファーストフードみたいな所へ行く.しかしここはメニューの当たりはずれが大きく,特に敬之のとった酢豚みたいなのはひどかった.ケチャップ色にだまされて口に入れると,むちゃくちゃ甘い.そのほとんどを食べる敬之をちょっと尊敬した.けれど俺のチョイスは結構まともだったからチョイスを間違えた敬之が悪いと言えばそれまでだ.
アメリカ初日は大変疲れた.印象に残っているのは,食べ物が巨大だということだ.値段が安いという訳ではないが,出てくる量が非常に多い.特に飲み物はどこでもアメリカンサイズ.しかも炭酸ばかりだから余計に腹が膨れる.あとは,小銭が分からなくて困った.日本とは硬貨の構成も違うし,どれがいくらなのかもまだ覚えてない.お札ばっかり使ってしまうので,小銭がたまってしまう.日本の銀行でドルに変えたとき,銀行員が「小銭なんてすぐたまりますよ」と言っていたのを思い出すが,全くその通りだ.
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