酸っぱい思い出

0

朝,目が覚めると違和感を感じる.部屋の大きさの割に天井が高いからだ.このホテルがもとは市庁舎だったからか,アメリカのホテルというのはこういうものなのか知らないが昨日は疲れていたため全然気付かなかった.それはさておき今日は一日観光に明け暮れる予定なので,朝御飯も食べずに外に出る.

最初の目的地はフィッシャーマンズワーフだ.昨日も行ったPowell St.駅まではBARTを使えばたったの一駅.そしてそこからはケーブルカーに乗って行くのが基本だ.しかしこのケーブルカーの混み具合というのが半端じゃなく,まだ9時だというのに沢山の人が並んでいる.いくらケーブルカーが小さいとはいえ,並びすぎだろう.しかし乗らないわけにはいかないので,我慢して並ぶしかない.何台か待ってやっと順番が回ってくる.待っている間にどうやらみんな立ち乗りを狙っているらしいという事に気付き,私たちも負けずにダッシュして立ち乗りポジションをゲットした.

ケーブルカーが走り始め,サンフランシスコの坂道を登っていく.レトロな感じの車両もたまらないが,半分身を乗り出して進んで行くというのがとても気分がいい.下り坂になると少しスピードも上がり,立ち乗りしていると,ぶつかるんじゃないかというスリルが癖になりそうだ.

終点で降りて少し歩くと,ガイドブックで見た大きな看板が立っている.フィッシャーマンズワーフに到着である.有名な観光地ということもあって大変な賑わいだが,ここにきた目的の1つはかつて脱出不可能といわれた監獄島「アルカトラズ島」へ行くことである.もちろん島なので船で渡るのだが,なかなか人気のコースで船のチケットを取るのが大変らしい.急いでチケット売り場へと向かうが,案の定売り切れ.今日の分どころか数日先の分まで売切れてる状態だ.

しょうがないので,島には渡れないが島の周りをまわって帰ってくるというコースで妥協する.チケットを買うが,出発までは時間があるので遅い朝食をとることにする.食べたのは名物のクラムチャウダー.クラムチャウダーはおいしいのだが,それの器にしているパンが酸っぱい.SOURDOUGHといってサンフランシスコの特産らしいがはっきり言ってまずい.サラダに付いてきたドレッシングまで酸っぱくてダブルパンチ.酸っぱいのは苦手である.

食事も終わり船に乗り込む.アルカトラズ島が近づいてくるが,島は寂しい感じの島で全体で寂れた監獄という雰囲気をかもし出している.昔見た映画「アルカトラズ島からの脱出」の舞台と思うと感激だが,やはり実際に降りてみないといまいち面白くない.どちらかというと島を見れたことより,海の上からサンフランシスコを眺められたということのほうがよかった.

戻ってきてから船に乗る前に見つけた潜水艦,USS PAMPANITOへと向かう.艦体にはもろに「WW II」 とペイントしてあり3人とも中に入る前に恐怖を感じてしまった.しかし潜水艦の中などめったに拝めるものではなく,入らないはずがない.SOUND TOURという,一人一人がポータブルのスピーカーを持って進むという形式だが,これは便利でいい.潜水艦の中は思ったよりも狭く,これに乗って戦場へ行けと言われたら気が狂ってしまいそうだ.鍵がかかっている場所が少し多かったが,初めてみた潜水艦の内部はとても面白かった.

その後,蝋人形館に入ろうと思ったけど高くて却下.とりあえず買い物をしようとピア39に行く.ここはいろいろな店が多く集まっていて,買い物には最適だった.いろいろと寒いものを買ったが何を買ったかは秘密.適当にそこらへんをぶらついているだけでも面白い.

その後,本日のメインイベント,グレース大聖堂へ向かう.ここは良かった.まず教会に近づくにつれて,あまりの大きさに驚いた.これほど大きな教会は見たことがない.中に入るととてもきれいなステンドグラスに,威厳ある広大な空間.見ているだけで身も心も清められる思いだ.中で結婚式を挙げている人もいたが,これだけの教会ならここで式を挙げたくなる気持ちもわかる.帰りがけに脇にあった店でお土産も買って万事OK .その後はユニオンスクエアで日用品の買い物.実はこっちは予想していたより寒く,手持ちの装備では少し不安に思っていた.それにどうせこの先まだ3週間以上いるのだからと,服を買っておく.

時間も遅くなってきたのでホテルに戻ることにする.いろいろ面倒くさかったので晩御飯はホテルのレストランで食べたが,寒々だった.3人そろってニューヨークステーキを頼んでみたが,またもやアメリカンサイズ.メインの肉がでかいのはいいとしても,付け合せのマッシュポテトが標高15cmはある山のようになってでてくるのはやりすぎだろう.脇にあるこの黄色の物体は怪しすぎて何だかさっぱり分からないし,スープがまたクラムチャウダーだ….もちろんこんな食事,コンプリートできるはずがない.