景勝地で降り損ねるとは…

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太魯閣峡谷の観光ツアーは7:30にバスが迎えに来た.唯一の不安は,現地のツアーなのでバスガイドがチャイ語で話すのではないかということだ.

所々で他のお客を拾って行くのだが,乗って来るのは台湾の年配の方ばかり.多少場違いな雰囲気が漂う.一通り揃ったところでやっとガイドの話が始まるが,当然の如くチャイ語.これじゃ全く言っている事が分からないと思っていると,英語もしゃべり出した.お客の層がはとバス並なだけに,英語を話してくれるかちょっと不安だったので良かった.きっと外国人旅行者もたまに使うのだろう.と思ったら次は日本語.しかもちょっと変.ガイドさんには悪いが,英語のほうが分かりやすい.しかし3カ国語(?)を操れるとは,凄いガイドさんである.

最初にバスが停まったのは,工場のような所.本来は帰りに寄るはずだったのが,今日は工事の関係で予定が変わったらしい.そこで翡翠や猫目石などの真贋の見分け方を教わる.石に髪の毛を貼り付けて火を近づけたり,光に透かしたりその反射を見たり.そんだけいろいろやって,最終的には輝きで見分けろということだった.そこでもうお土産を勧められる.猫目石が欲しかったけど変なのしかなかったのでやめる.で再びバスに乗り,今度こそ太魯閣へ.

太魯閣が近づくバスの中で,ガイドさんから注意事項.入口の所にいる民族衣装を着た娘さんと写真を取る場合は20元払って下さいという話だ.なるほど,写真を撮るときは気を付けねばと思っていると,バスは入口のゲートに近づき,そして通り過ぎて行く.っておい,そんだけ言っといて入口には停まらんのかい!

そんな理不尽な思いを乗せてバスは進み,まず停まったのは長春祠.長春祠は東西横貫公路の建設工事の際に殉職した人を祭っている所だが,こんな絶壁に作ったのではこれを造るのにも人が死んだ気がする….まぁ,いいか.その下を流れる川はとても綺麗で,泳いだら気持ちよさそう.しかしさすがに着替えも無いし川の中には入れないなと思っていると,ズボンが濡れるのも気にせず真中まで入って写真を撮っている女の子達を発見.台湾恐るべし.

出発する時間が近くなった頃,老夫婦に写真を撮ってくれと頼まれる.ところがカメラを構えてみると,なぜかパノラマモード.これでは老夫婦と祠を入れると,祠ぎりぎり老夫婦は頭だけというかなり不気味な写真になってしまう.しかし縦に長いここの風景をあえて横長に撮りたいのだろうと,老夫婦の気持ちを察してパノラマ撮影強行.撮り終わった後で心の中でごめんなさいと謝っておいたし,どうせこの先彼等と再び出会うことも無いだろう.

さすがに峡谷というだけあって,細くうねる道が続く.こういう道はバスに乗っていると余計怖い.視点が高いので道路の上を走っている気がせず,このまま崖に落ちてしまうのではないかと思ってしまう.ガードレールがあるといっても,とてもじゃないがこの巨体に役に立つとは思えない.私のそんな心配を余所にバスは走り続ける.

って,ちょっと走り過ぎ.夏の台風で崩れてしまったという酋長の顔はしょうがないとしても,燕子口や錐麓大断崖には停まらないのか?そんなに見所が多い所じゃないんだから,ゆっくり見ないとすぐ終わってしまう.

やっと停まったのは九曲洞.呼んで字の如くの場所だ.このトンネルを作るのは困難を極めたといい,実際トンネルの合間から見える風景はそれを裏付ける.しかしその高さにもまして有名なのは上昇気流で,紙片を投げると舞い上がるという.早速やってみるが,投げられた紙片は落ちゆくのみ.残念だ.

で,次はもう降り返し地点,天祥.なかなか寒い場所だ.周りにはほとんど何も無い.一時はここで一泊しようかという案もあったのだが,実行しなくて本当に良かった.インパクトがあったのは吊橋ぐらい.MAX15人の制限付きという,恐ろしい橋だ.両端に腰ぐらいまでしかない紐状の手すりが付いているだけの小さな橋で,1人歩くだけでその振動が橋全体に伝わる.長時間ここにいると気が狂ってしまいそうだ.その他はやることも無くバスに乗って帰途に就く.

この後の予定は昼食をとって阿美族の踊りを見て終わりらしい.あまりにも拍子抜けツアーだった為に,3人とも寝てしまう.ふと目を覚ますと,みんなはバスを降りている.周りの景色はまだ峡谷だ.降りようか迷っている間に扉が閉まってバスが出てしまった.どういう事だと思っていると,燕子口を通り過ぎた所で停まる.しまった,歩いて燕子口を眺めようという事か!急いで逆走するが早くみんなと出会ってしまい,スゴスゴと来た道を戻る.帰りに寄るとは,予想外だった.しかし冷静に考えれば行きに停まった所だけじゃ少な過ぎだ.

昼食は朝寄った謎の工場で.料理は普通の中華料理だが,困ったことに大皿をみんなで分け合うタイプ.もちろん知らない者同士でテーブルを囲み,お茶一杯ですら気を使う,壮絶な心理戦が繰り広げられた.当然の如くそのテーブルの中では私達が一番食べたが,さすがにあまり食べた気がしなかった.

その後,先住民の中でも特に歌と踊りに秀でているという阿美族の文化村へ.ここでなかなかいい猫目石を発見.色違いの虎眼石というのもあり,それが気に入ったので購入した.そして阿美族の歌と踊りなのだが,やる気があるのか無いのか良く分からず,なんとも評価しがたい.ただ,飛び入り参加で一緒に踊っていた西洋人のアンちゃんだけはとても楽しそうだった.しかし阿美族が日本語でも解説し始めたときは,さすがにびっくりした.そんなに日本人のお客が多いのだろうか?

ホテルには予定通り15:30ぐらいに帰って来た.昨日頼んでおいた判子を受け取って花蓮を出る.もちろんピーコ屋の彼にさよならを言うのを忘れない.今日中に台北に戻ることもできるが,シャロンに宜蘭はいい所だと勧められたので宜蘭に寄ってみることに.電車の中で敬之が隣に座っている女の子と話してみると,偶然にもその子は宜蘭に住んでいるらしい.そこで何かおいしい店はないかと訊くと,返ってきた答えは「Mac」.う~ん,もうちょっと何か無いのか?

宜蘭の駅でその子と別れ,ホテル探し.地図も無い場所で泊まるのは初めてだ.建物が綺麗なホテルを探し,部屋を見せてもらう.中も綺麗で,値段もそこそこ.ここで昨日までに培ったディスカウントの腕を発揮して値切ってみる.金額の大小にかかわらず,値切るのは楽しくて癖になりそうだ.値切るのも成功して,荷物を置いて外に出る.

宜蘭の街は,凄く発展してるわけでもなく,閑散としているわけでもない.ごくごく普通の街だ.なぜシャロンはここを勧めたのだろう?取り敢えずMacでも行くかと中に入ると,さっきの女の子が….偶然とは恐ろしいものだ.その後ぶらぶらしているとセガワールドを発見.行ってみる.こんな所まで来てゲーセンで遊ぶというのもなんだが,他にやることが無いのだからしょうがない.

遊んだら後は食べるだけ.宜蘭ではいたる所で鴨という字を見る.台湾で鴨といえばアヒルのことだが,ここの鴨は有名なのだろうか?それならば,と鴨の肉が入った鴨肉麺を食べてみる.味は悪くないのだがぶった切りの肉が入っている為,砕けた骨とかが入っていて食べづらい.他にはえびチャーハンやピーナッツのアイスクリームなどを食べるがおいしかった.

後はいつもの如くコンビニによって,ジュースを買っていく.もちろん統一を忘れない.ホテルに戻ってテレビをつけると,なんとドラゴンボールがやっている.台湾は世界で一番NHKの衛星放送が普及していたり,日本のドラマを放送していたりと,本当に日本度が高い国だ.